双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 慣れていないからどぎまぎしてしまう。戸惑いを隠そうにも、汚れてもいないのに手元を拭いたりして、彼から視線を外すのがやっとだ。

「随分お口が上手になったんですね」

「そう?」

「そうですよ」

 くすくす笑う彼がコーヒーを飲み終えた頃、お客様が入ってきた。

 晴美さんの「いらっしゃいませ」という声が響き、入り口を振り返った彼は、ゆっくり席を立つ。

 なんだ、もう帰っちゃうのかと、がっかりするようなホッとするような、私の心は複雑だ。

「じゃあ」

 せめて見送ろうと店の外までついていった。

「今日はありがとう」

 肩をすくめた彼は「コーヒー、サンキュー」と言う。

「明日もコーヒーを飲みに来る。閉店前の方が邪魔にはならないかな?」

「えっ――そ、それは」

 驚きのあまり口ごもる。

 嘘でしょ。明日も来るの?

 なにをどう答えたらいいか、戸惑っているときだった。

「ママ―」

 ギョッとして振り向くと、散歩でもしてきたのか、祖父母と一緒に子どもたちがいる。

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