お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

レーヴェン殿下のギフト

 もしかして、私からかわれている?

 そんな考えが脳裏を過ぎる中、ルーシーさんはポンッと私の肩を叩いた。

「これからもその調子で頼むよ、フラグクラッシャー」

「は、はい……頑張ります?」

 一先ず了承の意を示す私に、ルーシーさんは目を剥いた。
かと思えば、勢いよく肩を揺さぶってくる。

「いや、そこはツッコミを入れなさいよ!何普通に受け入れてんの!?」

「いえ、その……こういうことに慣れてなくて」

「えっ!?人たらしのくせに、コミュ障なの!?」

 『普段、めっちゃ人当たりいいじゃん!?』と叫び、ルーシーさんはまじまじとこちらを見つめる。
まるで、珍生物でも見るかのような目つきで。
< 285 / 622 >

この作品をシェア

pagetop