お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

パーティーの準備

◇◆◇◆

 魔力暴走の一件で体調を崩してから、早一週間。
私はようやく、ベッド生活から解放された。

 兄を筆頭に色んな人がお見舞いに来てくれたから退屈はしなかったけど、自由に動けるのはやっぱり嬉しい。
入院生活ばかりだった前世の反動かしら?

「まあ、何はともあれ、これで思う存分動き回れるわね」

 ────と、歓喜したのも束の間……誕生日パーティーの準備に追われる。
どうやら、風邪で寝込んでいる間に両親が豪華なプランを組んでしまったらしい。
なので、予定よりも早く準備に取り掛かる必要があった。

 二人は『今までまともにお祝い出来なかったから、その補填だ』と言っていたけど、

「これはさすがにやり過ぎなんじゃ……?」

 目の前に広がる光景を呆然と見つめ、私はただただ立ち尽くす。
だって、屋敷の一番大きい部屋である大広間が飾り立てられて……いや、改装されていたから。
壁紙、タイル、シャンデリアまで交換するほどの規模に、私は驚きを隠せない。
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