契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 来週から海外出張があるとは聞かされていた。

 シンガポールのマリーナベイエリアに新たに建設が始まるTACHIBANAの新施設。

 海外のホテルは、日本の伝統と風情をより取り入れた趣のある施設を建設すると聞いている。中国に完成したばかりのホテルもコンセプトは同じだ。

 そのシンガポール行きがどうやら予定が変更になったらしい。


「そうなんですか」

「ああ、その分前倒しにはなるが、また少しの間ひとりにするのを許してくれ」


 蓮斗さんはまた私を腕の中に閉じ込め、優しい力で抱きしめる。

 ご両親と会ったあの後から、蓮斗さんは私が勘違いするほど甘く特別扱いのような態度で接してくれている。

 まるで本物の新婚夫婦のようで、私の鼓動は忙しなく音を立ててしまう。

 こんな穏やかな時間が緩やかに続いていけば……密かにそんなことを願ってやまない。

 私からも腕を回して抱きしめ返し、「大丈夫です」と答えた。


「蓮斗さんのプレゼントしてくれたこのお菓子を、毎日ひとつ食べて帰りを待ってますね」

「ああ、食べ終わるより前には帰ってくる」

「はい、待ってます」


 たくさんのお菓子を前にそんな約束をし、くっついたままふたりしてくすくすと笑い合った。

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