契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 三月も最終週に入ると、日中は暖かく過ごしやすい陽気が多くなる。

 桜の開花宣言も数日前に聞こえ、いよいよ待ち遠しかった春の訪れを感じる今日この頃だ。

 蓮斗さんが海外出張に出かけてもう二週間。

 日本にいても多忙を極める毎日を送られているから、あまり家でゆっくり過ごすことも少ないけれど、それでも帰宅しない日が続くのはやっぱり違うもの。広いマンションでひとり過ごすのは時に寂しさも感じる。

 それでも、私も自分の日常を丁寧に過ごし、日々を送っている。

 蓮斗さんが帰国する日に向けて、料理のレパートリーを増やすべく練習してみたり、時間を有効に使って過ごしている。

 寂しい気持ちを自分なりに前向きにとらえているのだ。

 今日は魚料理に挑戦したいなと、そんなことを考えながらオフィス棟のエントランスロビーに出ていったところで思わず足を止められる。

 そこには、何故かお義母様の姿が。

 ベージュカラーのロングコートに、中は黒いロングワンピース。今日も髪はアップスタイルでひとつに結い上げている。


「ご無沙汰しております」


 すかさず頭を下げ、その姿に歩み寄った。


「こんにちは。少しいいかしら、あなたに話があるの」

「お話、ですか。はい」

< 160 / 199 >

この作品をシェア

pagetop