契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「次の約束があるから、お話はこれまでにさせてもらうわね」
急かされる空気につられてソファを立ち上がる。
今、今なにかを言わなければこのまま話は済まされてしまう。
自分自身の気持ち──蓮斗さんを支えていこうと、ついこの間心に決めたばかりなのに、その想いすら口に出させてもらえない。
それは、私がどんな気持ちでいようと、お義母様にとっては関係がないことがひしひしと伝わってきたからだ。
私が蓮斗さんをどんなに大切に想おうと、支えていきたいと願おうと、それは私ではないということ。
行き場のない想いが込み上げて、涙となって目に浮かび始める。
泣いてどうにかなることではない。涙なんて出てきてほしくないのに。
「ごめんなさいね。蓮斗も、あなたみたいな普通の、庶民の女性が珍しかっただけなのよ。悪気はないわ。ごめんなさいね」
必死に涙をこぼさないようにしている私へ、お義母様は穏やかな声で謝罪する。「許してちょうだいね」と、私の肩にそっと触れた。
「なにかあれば、私の秘書に連絡をちょうだい。では」
ソファを立ち上がり、その場から動けない私を置いて、お義母様は「行きましょう」とご令嬢に声をかける。
ふたりが出ていくと部屋の中は静かになり、私はひとり我慢していた涙を頬に流していた。