契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
普段より時間をかけてベースメイクをし、今日は春らしいピンク色のアイシャドウを控え目に瞼にのせる。マスカラも丁寧に塗っていった。
あまり上手ではないけれど、髪も少し巻いてふんわりさせ、花見に似合うパステルグリーンのカーディガンに花柄のロングワンピースを合わせる。
今日くらい、最後のデートくらい、精一杯のオシャレをして会っても神様は許してくれるはず。
支度をしながらも、何度も切なさが込み上げてきて手が止まる。それを繰り返しながらも、なんとか準備を終えた。
お義母様と会ったあの日、涙を流しながらマンションへと帰った。
どんな風に帰ったかもわからないほど意識はぼんやりとしていて、ただただ悲しみのどん底を彷徨っているような感覚だった。
涙を流せば流すほど、蓮斗さんのことを想っていることを思い知らされた。
いつの間にかこんな風に気持ちを募らせてしまっていたけれど、気持ちを鎮めて考えて、夢は徐々に醒めていった。
蓮斗さんと出会った頃、彼と自分は生きる世界の違う人で、目を合わせることも話すことも私なんかが対等にできる相手ではないと思っていた。
その壁を蓮斗さんは少しずつ壊してくれて、彼がそばにいる世界がいつの間にか私の当たり前になり始めていた。
でも、そんなことはやっぱり有り得なくて。
蓮斗さんと私は、互いに交わることのない世界線にいる。
忘れそうになっていた現実を、お義母様によって思い出した。