別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「うん。なんか好きみたいで、つい誕生日やクリスマスプレゼントとかで飛行機のものを選んじゃうんだ」

 大丈夫だ。小さい子どもが特定の乗り物を好むことなど珍しくはない。

 部屋には他に保育園でもらったお誕生日会や運動会のダルをひとまとめにしていたり、凌空の写った写真をいくつか並べていたり、ここは寝室と言うよりも凌空の部屋だった。

「凌空の誕生日は?」

 なにげない質問に動揺が走る。

「じゅ、十二月生まれなの」

 本当は十月だがとっさに嘘をつく。凌空を綾人の子どもだと知られるわけにはいかないからか。他の人の子どもだと思われている中で、付き合っている期間がかぶっているのを避けたかったからか。

 私、綾人に嘘をついてばかりだ。

「仕事、少しははかどったか?」

 罪悪感に包まれていたら、話題が変わり胸をなで下ろす。

「うん。おかげさまで進められたよ。本当にありがとう」

 再度感謝を伝える形になり、そこで沈黙が走る。妙な気まずさを感じて先に私から視線を逸らした。

「なんか、ここまで巻き込んじゃってごめんね。お礼するために呼び出したのにかえって迷惑かけちゃって」

「俺が好きでしたんだ。迷惑なんて思ってない」

 きっぱりと言われ、心が軽くなる反面、申し訳ない気持ちで苦しくなる。

「優しいね、綾人は。昔から困っている相手を放っておけないんだもん」

 だから、この一連の行為に深い意味はない。そんなつもりで告げた。すると不意に手を取られ、驚きで引っ込めようにも力強く握られる。
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