別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「わかった。次は可南子にきちんと許可を取るよ、約束する」

 強引なのに、こうやって素直に自分の非を認めて私の気持ちを汲んでくれる綾人だからどうしても突き放せない。ひどいって言って嫌いになれたらいいのに。

 でも、彼の比ではないほどひどいことをしているのは私の方だ。

 黙っていたらまだ怒っていると思ったのか、綾人は私を慰めるように抱きしめた。

「騙し討ちみたいなことして悪かった。でも凌空を喜ばせたいと思ったのは本当だよ。可南子とまた会いたいのも」

 穏やかな声色に泣きそうになる。謝るのは私の方だ。綾人に優しくしてもらう資格なんてない。

「綾人」

 か細くも名前を呼ぶと、腕の力が緩んだ。私は彼を見上げ、目が合った瞬間頭を下げる。

「ごめん、なさい」

「謝るな。驚かせたかもしれないけれど、可南子への気持ちは嘘偽りはない。俺は本気なんだ」

 結婚を申し込まれたことを思い出し、それについてははっきり返事をしようと顔を上げたら人差し指を唇に当てられた。

「長期戦を覚悟している。でも絶対に諦めない。必ずまた可南子を俺のものにするから」

 力強く宣言され、目を見張る。綾人はふっと微笑むと私からそっと離れた。

「今日は帰るよ。また連絡する」

「うん」

 玄関に歩を進める綾人を素直に追いかける。靴を履いた彼が不意にこちらを向いた。
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