別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 とはいえ、莉愛に対してあまりにも身勝手な発言だったと改める。

「あ、でももしも本気で莉愛が綾人のことを好きなら……」

 私がどうこう言える立場じゃない。元々綾人のことは莉愛が先に気になっていたのだから、私が横取りしたと彼女が思っても不思議ではない。

「あのねぇ。私だって親友の彼氏に手を出そうとするほど節操なしじゃないわよ」

 少しだけ怒ったような莉愛の声が耳に届き、顔を上げる。

「それに逆よ、逆。私じゃ可南子に敵わないわ。今ので確信したもん。可南子のそういうところに進藤くんは落ちたんだろうね」

 意味が理解できず目を瞬かせていると莉愛はカップを持ち、ニヤリと笑う。

「純粋で真面目で誠実。わざわざ付き合い出したことをちゃんと報告してくれたし、今だって私なら奪えるものなら奪ってみたら?ってマウントとるな。だって普通、進藤くんみたいな人と付き合ったらみんなに自慢するよ。しかも彼から告白されたなんて!」

 勢いよく告げる莉愛はどこか嬉しそうだ。

「私をさらりと躱したのには腹立ったけれど、可南子を選ぶなんて、進藤くんなかなか見る目あるじゃない」

「莉愛」

 莉愛を傷つけたり怒らせたりするかもしれないと怖かった気持ちが和らぎ、心底安堵する。

「あのさ可南子、進藤くんには……恋人には甘えたり、弱いとこ見せたりしてもいいんだからね」

 すると打って変わって神妙な面持ちで莉愛が切り出した。
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