別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「大丈夫?」

「大丈夫、安全運転で可南子の家に向かうよ」

 心配しているのはそこではないのだが、今度はなにも言わなかった。

 綾人も疲れているし、慣れない凌空の相手で気が張っていたのだろう。伝えるのは運転中ではなくアパートに着いてからがいいかもしれないと考え直す。

 アパートに着く頃には、凌空は完全に夢の中だった。あれは運ぶとなかなか重いだろう。でも凌空が寝ている今がチャンスかもしれない。

「あのね、綾人」

「凌空は俺を運ぶから、可南子は家のドアを開けてエアコンをつけてくれ」

 話を遮り、指示をする綾人に目を丸くする。

「い、いいよ。私が運ぶから」

「荷物もあるし、遠慮しなくていい」
 
 荷物を持った状態で凌空を抱っこしながらバッグから鍵を取り出して開けるなど日常茶飯事だ。そう反論する前に彼は続ける。

「それから凌空にプレゼントも用意してきているんだ。うしろに積んである」

「え?」

 反射的に座席のうしろを見るとやや大きめ箱が入った紙袋が見えた。シャッツィのロゴが入っているのは、当然と言えば当然なのか。

「俺が凌空を抱っこするから、可南子は荷物とそれも持っていってくれ」

 私の返事を待たずに綾人は運転席を下りて、後部座席の凌空を下ろそうとする。

 プレゼントなんていらないと突っぱねる暇もない。

 綾人に続き、私も急いで車のドアを開ける。言われた通り、彼からのプレゼントも持った。

 ひとりでなんとかしないといけないのに。

 そう思っていたら、綾人はこちらにくるりと振り返った。

「全部、ひとりでなんとかしようとしなくていい」

 心を読んだかのように優しく諭される。

 その言葉が、凌空の件だけではなく私の性分全体に対して言われた気がして、胸がチクリと痛む。でも事実は変えられない。私が綾人を傷つけたのも。彼が私とは釣り合わないような人だってことも。

 部屋に入り、急いで布団を敷き、凌空を寝かせる準備をする。

 この前と同じ流れになってしまったが、しょうがない。それに、まだ彼にはっきりと今後について話していない。もう会わないって言わなければ。

「ここにお願いしてもいい?」

「わかった」

 凌空を抱っこしている綾人に頼んだタイミングで私のスマホが音を立てる。
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