別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 綾人がしたのは、質問ではなく確認だ。あまりにも確信めいた言い方に、逆に私が動揺してしまう。そんな私を綾人は真っすぐ見つめてきた。

 すべて見透かされそうな視線に、目を逸らしたくなる。

「なに、言ってるの? そんなわけないよ。誕生日だって……」

 彼には十二月と伝えている。いくら初産で予定日から延びたとしても、綾人と別れた時期を考えたら妊娠はありえない。

「凌空の本当の誕生日は十月なんだろ?」

 ところが、ついていた嘘をあっさりと訂正され、目を見張る。ハッタリなのか、なにか確証があるのか。どう答えるのが最適なのかわからず、私は黙ったままでいた。

「隣の部屋に飾ってあった手作りの誕生日メダルの裏に、凌空の名前と十月十八日って日付が書いてあった」

 そこですべてを悟る。運動会や進級など、イベントごとに保育園でもらうメダルをまとめて無造作にかけていたが、その中に誕生日にもらったものもあったのだ。

 まさかそんなところから誕生日を知られるなんて……わざわざ手に取り、裏を見ないとわからないものだ。完全に油断していた。

 さっと血の気が引き、今度は違う意味で言葉が出ない。口の中が一気に乾く。頭を巡らせ、しばしの沈黙の後、おずおずと続ける。

「嘘をついてごめんなさい。綾人に余計な心配をかけたくなくてごまかしたの」

 これは本当だ。他の男性との子どもだと思っているのに、誕生日を正直に告げていたら、綾人はきっと自分の子どもの可能性を思い浮かべるだろう。
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