別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 そんなわけにはいかない。他の男性と結婚すると一方的に告げ、私は彼の人生からいなくなったのだ。綾人の子どもではなく、彼と別れる間際に別の男性と交際していたと思われる方がいい。

 胸がチクリと痛むが、ぐっとこらえる。誕生日を偽り、綾人はもちろん凌空本人にも悪いことをしたと思っていた。でも今から誕生日どころか、父親であることを否定しないとならない。

「なら、凌空はやっぱり俺の子なんだな」

 けれどその前に、綾人が安心したように告げた。

「ち、違う。綾人は関係ない! 別れる時言ったでしょ? あの時には別の人と」

「だとしても、凌空の父親は俺だ」

 話を遮られ、強く言い切られる。なにを根拠にそこまではっきりと言い切るのか。疑問を口にする前に綾人が再び口を開く。

「実は、凌空に渡すプレゼントについて兄に連絡を取ったんだ。三歳前くらいの子どもが好きそうなものはなにかって」

 唐突に語られる内容に虚を衝かれる。

 凌空に用意してくれたプレゼントはシャッツィの紙袋に入っていた。有名な大手玩具メーカー、シャッツィの社長である彼の兄なら流行や年齢に合わせたおもちゃには詳しいだろう。

 けれど今、その話をする意図がまったく読めない。訝しげに話を聞いていると、綾人はスマホを取り出し、軽く操作をしてから私の方に差し出してきた。

「そうしたらさっき、おもしろ半分で兄から俺が凌空と同じ頃の写真が送られてきて……」

 画面に映っている少年を見て、硬直する。今の綾人の面影をしっかり残しつつ飛行機のおもちゃを持って幸せそうに笑っている表情は、凌空にそっくりだった。
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