別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 目がくりくりとしていて活発そうな雰囲気も似ている。他人の空似では片付けられない。

『ぼく、目鼻立ちくっきりでお父さんにそっくりね。男前だわー』

 通りすがりの女性がそう思ったのは、綾人が凌空を抱っこして父親だと勘違いしているからだと思った。けれど想像以上に血の繋がりは、第三者が見てもはっきりしているのかもしれない。

 車を運転する前に、スマホの画面を見てから綾人の様子がおかしかったのに合点がいく。綾人はそっとスマホをしまうと、私をジッと見つめてきた。

 もう言い逃れできない。

「ごめん、なさい」

 乾いた声で小さく謝罪を口にする。その瞬間、綾人の目がわずかに見開かれた。

 確信があったにせよ、私が認めたことで、彼の中で可能性であったものが事実になってしまったのだ。

 私は頭を下げた。

「ごめんなさい。凌空は、綾人との子どもなの」

 罪を告白するかのような気持ちだった。なにに対する謝罪なのか、自分でもわからない。だって謝ることが多すぎる。

 綾人になにも言わず、出産を決めた。無事に凌空が生まれても、綾人に連絡を取ろうとは思わなかった。再会してからも嘘をついて、こうして綾人が切り出すまで、父親だと知らせるつもりもなかった。

 どこから責められても、文句は言えない。

 ところが次の瞬間、綾人に力強く抱きしめられる。

「なにも知らずに、悪かった」

 労わるような、申し訳なさそうな声に、目の奥が熱くなる。感情と共に溢れそうになる涙を必死でこらえ、喉の奥を振り絞る。
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