恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

「そ、そうだ！！私、出版社のことを
　お2人に聞きたかったんです！」


『ここまで来て会社の話なんて嫌よ！！
　私は日和ちゃんの話が聞きたいの！！
　あのクールな瀬木先生があんな甘い
　顔してるのよ？分かってるの！？』


「……‥‥‥分かりません。」


ああ‥‥この人たちは話すまで絶対離してくれない気がした。

両脇でギャーギャー騒ぐ姿はさっきカッコいいと思えた2人とは別人のようだ。


仕方なく観念した私は、さすがに恥ずかしいから詳しくは話せないけど少しだけ話すことにした


「以上です。帰ったら出版社の話聞かせてくださいって…えっ！！」


大きく溜め息をついた私の肩に今度は腕が巻き付き重さに体が潰れそうになる


『日和ちゃん！！絶対隼人のことを
　見捨てないでね！！』

「そ、そんなことしませんよ！」

『あー先生の甘い恋物語を早く読みた
　いわ。既に今回書いてたりして‥‥』


2人テンションが常に同じなことに気が付きやっぱり恋人同士だと納得した。


『そう言えば日和ちゃん、櫂は元気？』

「えっ！？お兄ちゃんのことも
　知ってるんですか！？」


あれから何とか腕から逃れて向かい側に座れると、和木さんからお兄ちゃんの名前が出て驚いた


『知ってるも何も、櫂は大学の同期だし
　隼人が執筆に詰まってたときに
　櫂を紹介したの俺だから。』


お、お兄ちゃんの同期？しかも大学も一緒！？

『ちなみに私も櫂君と仲いいわよ？』

高城さんも！？


何だかもう知らなかっただけで
みんな凄い繋がりがあったんだね。


瀬木さんとの再会が最初から仕組まれてたかのように思えるほどだ。


夕食時、強引に仕事部屋から和木さんに
連れてこられた瀬木さんは相変わらず機嫌が悪かった。


『ほら、飲め。』

『飲んだら書けないんだけど。』

『たまには付き合えよ。』


和木さんが買ってきたのは高そうな年代物の白ワインとシャンパンだ


「瀬木さん、後でお仕事のことを少し
　聞きに行ってもいい？」

『ん、いいよ。おいで。』


不機嫌ながらも私には優しく笑ってくれたのが嬉しくて私も笑顔になってしまう


『はいはい！！甘い雰囲気出すのは
　俺らのいないところで頼むよ。』

『だったら帰れよ。』


瀬木さんにとって2人のことが
大好きな人なんだって分かる‥。あんな話し方してるけど実際楽しそうだもん。


あれから高城さんたちは部屋で飲み直すと2階へ行ってしまい、後片付けを終えて帰る仲さんを見送った