恋の微熱に溺れて…
「面白そう。私もそれが観たい」

「それじゃそれを観ましょう。再生しますね」

慧くんが操作し、観たいと言っていた映画を再生する。
私は基本、邦画を見ることが多いが、たまに洋画や韓国作品も観ることがある。
でも慧くんが観たい作品は知らなかったので、今から映画を見るのが楽しみだ。
しかし私は韓国語が分からないので、慧くんがちゃんと吹き替え版を再生してくれたので助かった…。
吹き替え音声を聴きながら映像を目で追う。どんどん物語が進んでいくにつれ、映画の世界観に惹き込まれていく。
気がついたら感動のシーンで頬に涙が伝っていた。溢れ出るというよりは一筋の涙が流れるといった感じで。
私が涙している姿を見て、慧くんがそっとテッシュを渡してくれた。私は一枚箱からティッシュを取り、涙を拭った。
映画中だったので耳元で囁くような小さな声で、「ありがとう」と慧くんに伝えた。
すると慧くんが、ニコッと微笑んでくれた。まるで“いえいえ”と伝えているかのようだ。
彼のさり気ない気遣いが嬉しくて。それだけで更に涙が出そうになったが、ここは堪えてそのまま映画に集中した。
その後も涙が出そうになった場面があって。思わず再び涙が溢れ零れ落ちた。
あまりにも映画の世界観に惹き込まれすぎて。気がついたらあっという間に映画は終わっていた。
とても面白い作品だったので、観終えてしまったのが名残惜しかった。

「面白かったですね。俺も感動して涙が零れ落ちました」

彼の目元に目を向けると、微かに彼の目元は濡れていた。
彼も同じ場面で感動したみたいだ。たったそれだけのことで歓喜した。

「私も感動した。さっきはティッシュありがとう」

やっと先程のお礼をちゃんと伝えることができて安心した。

「いえいえ。俺も涙が出てしまったので、自分の涙を拭うついでだったので…」

それも本当のことなのかもしれないが、私が涙しているのを見て差し出してくれたのであろう。
いつだってこちらに気を遣わせない、さり気ない優しさを与えてくれる。
彼のそういったところを尊敬している。見習いたいと思うことが本当に多い。
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