恋の微熱に溺れて…
「さて。良い感じに時間が潰れましたので、そろそろ出かける準備をしましょうか」

慧くんの言う通り、良い感じに時間が潰れて、いよいよイルミネーションの時間が迫ってきている。
確かにそろそろ出かける準備をした方が良さそうだ。せっかくだからオシャレして出かけたい。

「そうだね。出かける準備をしないと…」

それぞれ身支度を整えるために準備を始めた。
私はメイクとヘアアレンジを。慧くんはヘアセットを。
私の方が女性だからどうしても身支度に時間がかかるので、先に慧くんの方が支度を終えた。

「俺はずっと待ってますので、気にせずにゆっくり支度をしてください」

そう言ってくれる慧くんの優しさに甘えることにした。
せっかくのクリスマスなので、とびっきりオシャレした私を慧くんに見せたい。
その方が慧くんも喜んでくれるはず。慧くんのためにも自分のためにも可愛い私になるために頑張る。
できるだけ手早く。でも丁寧に。どんどん綺麗になっていく自分を鏡で見る度に明るい気持ちになっていく。

「慧くん、支度終わったよ」

あとはコートを着て、家を出るだけだ。
その先にはイルミネーションが待っているかと思うと、ワクワクした気持ちが止まらない。

「それじゃ行きますか」

慧くんが玄関の扉を開けてくれた。
そしてそっと手を繋いでくれた。
私はその手をちゃんと握り返した。

「うん。行こっか」

手を繋いだまま歩き出した。クリスマスにイルミネーション。定番といえば定番だが、そういった定番を過ごすのは初めてで。
今まで街中で恋人達を見かけたら嫌な気持ちになっていた。自分だけが取り残された感じがして。惨めな自分を実感することになるから嫌だった。
でも今日は違う。隣には素敵な恋人がいる。恋人たちを見てもそんな気持ちにはならない。寧ろ幸せな人がいっぱい居てハッピーな気持ちになる。
恋人ができるだけでこんなにも世界が変わるなんて知らなかった。私もちゃんと幸せを知ることができてよかったと安心している。
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