恋の微熱に溺れて…
「結構人が多いね…」

「ですね。初めて来るので、ここまで人が多いのは知らなかったです」

いくら近所とはいえども、全く足を伸ばさない場所もある。
私だって自分の家の近所でまだ足を運んだことがない場所がある。
何かきっかけがないとなかなか足を伸ばせない。たまにはこうやって二人で知らない場所へ足を運んでみるのもいいなと思った。

「そうなんだ。なかなか一人だと足を運ぶ機会がないよね」

「そうですね。なかなかないですね。でもこうして京香さんと一緒に来ることができて嬉しいです」

それはこちらも同じ気持ちだ。慧くんと色んな場所へ一緒に行くことができて嬉しい。

「さて、早速参拝しましょうか」

「そうだね。そうしよう」

参拝の列に並ぶ。神社の人混みの大半は参拝する人の列で占めているといっても過言ではない。
だからといって待てないほどの行列ではないので、並んで待っていたらあっという間に自分達の番が回ってきそうだ。

「京香さん、参拝が終わったらおみくじを引きませんか?」

神社といえばおみくじ。子供の頃、神社に行ったら必ずおみくじを引いていた。
それは大人になった今でも同じで。おみくじを引くのは今でも心が躍る。

「いいよ。私も引きたいなって思ってたところ」

慧くんもおみくじを引きたいと思っていたことに安堵した。
なんだかおみくじを引きたいなんて子供みたいで。なかなか自分から引きたいなんて言い出せなかった。

「本当ですか?それなら是非、おみくじを引きましょう!二人で大吉が引けることを願ってます」

慧くんの言う通り、本当にそうなればいいなと思った。
でもまずその前に神様に一年のお礼と、今年のお願い事を清らかな気持ちで祈願する。

「そうなるといいよね。そうなることを願って、神様にお願いしないと…」

大吉だけではないが、一年通して今年も良い一年になれるようにお願いしたい。
それ以上に望むものはない。何事もなく過ごせることが一番の幸せだ。

「そうですね。お願いしたいことがたくさんあって、ちゃんと全部お願いすることができるのか、心配です」

思ったよりも慧くんは欲まみれのようだ。この爽やかな顔からは想像できない。

「そうなの?たくさんあるんだね」

「そりゃありますよ。まず今年も変わらずに京香さんと幸せに過ごしたいですし、それに京香さんと同棲もしたいですし、今年の大型連休には旅行に行ったりとか、色々なことを京香さんと一緒に叶えたいです」
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