恋の微熱に溺れて…
「そんなことないよ。常に頼りにしてるもん」

『分かってるよ。冗談で言ってみただけ』

お互いにお互いをよく知っている仲だからこそ、優希とはこういう冗談が言い合える。

『京香ってお菓子作りの腕前はある?それともない?』

バレンタインのチョコを作るにあたって、私のお菓子作りの実力を知りたいみたいだ。
優希はきっと聞く前から私の実力を知っているはず。それでも敢えて聞いてくれたのであろう。
優希の優しさに感謝した。これからもっと感謝することになるのは間違いないが…。

「学生時代に友チョコを作った以来、全くお菓子作りはしてません」

正直に答えた。嘘をついても迷惑をかけるだけだから。

『それはかなりブランクがあるね。簡単なメニューを探しておくから私に任せて』

優希は嫌がらずに、率先して友達のために行動してくれる。
その優しさに素直に甘えることにした。優希の気持ちが嬉しかったから。
いつか何かしらの形で恩返しができるように、私も優希のために行動できることがあったら行動しようと思う。

「それじゃお言葉に甘えて、優希にお任せするね」

これでなんとか手作りチョコを無事に作れそうだ。
慧くんに喜んでもらえることができる。たったそれだけで彼女としての役目を果たせたような気持ちになった。

『チョコ作るの、いつにする?あまり日持ちしないから、バレンタイン近辺で作った方が良いと思う』

優希からお菓子作りを教えてもらう立場なので、私は優希の指示に従うのみだ。
日持ちしないことを考えると、バレンタイン前の週末が良さそうだ。

「それならバレンタイン前の週末はどう?」

優希は職業的に休みの形態がバラバラなので、都合が合わないかもしれないが、せめて夜だけでも良いから時間を合わせられるのなら合わせたい。

『まだ休みが決まってないからなんとも言えないけど、調整してもらえるか聞いてみるね』

私は休みが決まっているため、優希に合わせてもらう方が正直助かる。
上手く調整できることを願った。優希と一緒にチョコを作りたいから。

「よろしくお願いします。いつも合わせてくれてありがとうね」

『いいよ。気にしないで。京香は休みが決まってるからね。私の方が合わせやすいし』

優希は本当に良い人だ。嫌がらずに合わせてくれる。
改めて優希のような友達を大事にしようと誓った。

「そう言ってくれてありがとう。助かります」

どんな時でも力になってくれる。そんな優希の優しさにこの子は名前の通りの子だなと感じた。
そしてこれからは私も彼女のために何かしてあげたいと強く思った。

『また詳しいことは後日に。それじゃまたね』

その日はここで話が終了した。後日、ちゃんとお菓子を作る日を決めて、一緒に作ることになった。
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