恋の微熱に溺れて…
恋愛に意欲を見せるのは大事なことだ。出会いを求めているとアピールすることで、恋人が欲しいと気づいてもらえる。
確かに私は出会いを求めてますというアピールが下手かもしれない。だから今まで誰にもアプローチされなかったのかもしれない。

「確かにそうかもしれない。私って出会い求めてませんって思われてたのかも…」

「中にはずっと京香のことを密かに狙っていた同僚もいるだろうけどね。でも社内恋愛って難しいのよ。周りにバレずにお付き合いするのって限界があるからどうしてもバレちゃうし。それに万が一、別れるってことになったら気まずいし。お付き合いを続けるにしても、別れることになったとしても、どちらにしても周りに気を遣わせちゃうからね…」

リスクの方が大きい。それでも出会いは会社にしかないので、会社以外で出会いを探す方が難しい。

「それはなんだか居た堪れない気持ちになるかも…」

「その点、京香の彼氏はそんなリスクを背負ってでも京香を選んだんだから、漢気があってかっこいいね」

彼の行動力の高さは確かにかっこいい。人の目よりも私を選んでくれたのだから…。

「うん、かっこいいよ。優希にそう言ってもらえて嬉しい。今度、ちゃんと彼のことを紹介するね」

優希にも彼にもこんなにも素敵な人がいるということを知ってほしい。二人共、私にとってとても大切な人だから。

「分かった。紹介してもらうの、楽しみにしてるね」

その日を早くセッティングできるように頑張ろうと思う。
慧くんにも優希を紹介する話を持ちかけよう。きっと喜んでくれるはず。

「さて準備も整ったし、早速チョコ作りを始めますか」

いよいよチョコ作りがスタートした。急に緊張感が込み上げてきた…。

「そうしますか。それでその…、私は今から何をすればいいの?」

レシピは優希に選んでもらったので、何をすればいいのか私は全く分からない。

「京香はまず、チョコをボールの中に必要な量だけを入れて」

すると優希が一枚のペラ紙を渡してきた。どうやらわざわざネットで見つけてくれたレシピを印刷してきてくれたみたいだ。

「ありがとう。印刷してきてくれて…」

「いえいえ。その方がやりやすいかなと思って…」

確かにやりやすい。優希の心遣いに感謝している。

「優希の言う通り、やりやすいので助かってます」

「それならよかった。それじゃこのまま続きをしよっか」

口より手を動かさないと、チョコ作りが進まない。
少しでも時間を無駄にしないためにも、手を動かすことにした。
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