恋の微熱に溺れて…
「そうだね。そうしよう。えっと…私が今から作るチョコは……」

レシピの紙は数枚ある。まだちゃんと目を通していない私には、今から何を作るのか分からなかった。

「とりあえず先に生チョコを作ろっか」

生チョコ…か。勝手に作るのが難しいイメージがある。
私に作れるのかどうか不安だ。

「優希、生チョコって作るの難しくないの?」

「難しくないよ。言ったでしょ?簡単なレシピを選んだって…」

確かにそう言っていたが、まさか想像よりも難しそうなメニューに戸惑いを隠せなかった。

「そうだね。そう言ってたね…」

「そんなに不安にならなくても大丈夫だよ。本当に簡単だから」

そうは言われても、まだ不安は拭えない。
それぐらい生チョコを作ることに自信がない。

「本当に?生チョコって難しくないの?」

「そんなに難しくないよ。私も何回か作ってるけど、毎回ちゃんと作れてるよ」

優希なら成功するのは間違いないと思うが、初心者の私にできるのだろうか。

「実際にやってみたら分かるから。ほら、やってみな」

優希に施されたので、実際にやってみることにした。
まず生チョコの作り方が書かれたレシピの紙を探し、それを見ながら必要な材料を準備した。

「チョコを溶かすためにボールを二つ用意して、片方にはお湯を入れて…」

まずお湯を用意した。そして必要な量のチョコを計測器で測って、必要なグラム数を用意した。

「生クリームも必要なのね…」

今までお菓子作り自体をあまりしたことがないので、工程を知れば知るほど不思議で新鮮だ。
これで一つのものが出来上がるのだから、まるで魔法みたいだ。

「優希、楽しい。本当に混ぜて固めるだけだね」

いざやってみたらこんなにも楽しいなんて。始める前に不安を感じていた自分がおかしく思えてきた。

「でしょ?私だってそんなにお菓子作りが得意ってわけじゃないから、簡単なのしか作ったことないよ。だから京香より少しできるってだけ。難しいお菓子が作れるのは本格的にお菓子を作るのが好きな人か、パティシエだけだよ」
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