恋の微熱に溺れて…


           *


私達はまずお兄さんの結婚式に参加するために、婚約者になったことを両家の両親に伝えることにした。
先に慧くんのご家族に…。お義父様もお義母様もお義兄さんも、快く私達の婚約を承諾してくれた。
挨拶をするまで知らなかった。実は慧くんにお姉さんがいたということを…。
慧くんのお姉さんは背が高くて、美人な方で。思わずお姉さんに見惚れてしまうくらい、美しい方だなと思った。
そして慧くんの元恋人であり、現在はお義兄さんの恋人でもある霞美さんにもちゃんと挨拶をした。
慧くん家に挨拶へ伺った時、霞美さんも同席していた。霞美さんはもう羽月家の一員なので、同席しているのは当然だ。
今まで霞美さんに対して蟠りがあった慧くんは、ぎこちないまま霞美さんに挨拶をしたが、徐々に霞美さんと普通に接していた。
私はそんな彼の姿を見て安堵した。もう彼は完全に過去を断ち切ることができたから。

「京香さんと慧はいつ結婚式を挙げるの?」

突然、お義母様から聞かれた。どうやらお義母様は私達がどこまで準備を進めているのか気になっているみたいだ。
しかし残念ながらまだそこまで準備が進んでいない。この間プロポーズをされたばかりなのに、式場が決まっているはずがない。
それにまだ一緒に住む家すら見つかっていない。そんな状態でまだ結婚式まで考える余裕がなかった。これから考えるところだ。

「これから二人でゆっくり決めるよ。俺達はまず一緒に住む家を探すところからだから」

早く一緒に住みたい。そう思いつつも仕事に追われている毎日。
なかなか条件に合う家が見つからないので、思いのほか時間がかかってしまっている。
そろそろ見つけないと、このままでは一緒に住むことすら危うくなってしまう。

「そうなのね。早く見つかるといいわね。そうだ。京香さんさえ良ければうちの土地が余ってるから、そこに家を建てない?」

慧くん家は都内にあるため、ここから職場へ通うことは可能だ。
私は慧くんとご両親さえ良ければ、それでも構わないと思っている。

「母さん、それはまだ気が早いよ。それよりも兄貴達の方が先に家を建てることになるんじゃない?」

どうやら慧くんは私達のことより、お兄さん達のことを気にしているみたいだ。
それに金銭的なことを考えると、今の私達に家を建てるなんてことは無理だ。
まず先に結婚式の資金を貯めることが先だ。それからじゃないと家を建てることを考える余裕すらない。

「慧の言う通りだぞ。俺達の方が順番的に先に確認するところだろ?…まぁ、慧がここに建てたいっていうなら慧に譲るけど、俺は慧がいいならここに家を建てたい。霞美には許可を得てる。だから父さん、母さん、ダメかな?」

どうやらお兄さん達の方が、家を建てることを考えていたみたいだ。
順番から考えて先にご結婚されているので、考えていてもおかしくはない。
私達はまだ家を建てる…といった話の段階には至っていないので、そこはお兄さん達夫婦が優先されるべきであろう。
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