ねぇ、好きになってよ、僕だけのお姫様。
私を椅子に座らせた後に部屋から出ていった彼は、
いつの間にか片手にお皿を二枚持って立っていた。
「…っ⁉」
急に現れたことに驚いた私は、より強くクッションを抱きしめる。
「ごめんね、びっくりさせちゃったでしょ。
りのちゃんが好きなショートケーキ、一緒に食べよう」
怯えている私を見て、男の人は眉を八の字にして申し訳なさそうに謝り、
再び私の返事を待たずに、テーブルにショートケーキが乗ったお皿をそっと置いた。
「うわあ~っ!!」
目の前にあるショートケーキに思わず頬が緩む。
恐怖を吹き飛ばしてくれるような美味しそうな香りと、
てっぺんに乗ったイチゴが私に笑いかけているようで、嬉しくなった。
ショートケーキ早く食べたいなぁ…
「あっ、笑ってくれた!」
そんな私を眺めている彼は、いつのまにかテーブルをはさんだもう一つの椅子に座っている。
なんか気配が薄くて怖い人だなぁ。
でもショートケーキを用意してくれるなんて優しすぎるっ!