ねぇ、好きになってよ、僕だけのお姫様。
「こっちおいで、一緒におやつ食べよ」
私が必死に考えていたとこを邪魔するように、低い声が聞こえてきた。
私の返事を待たずにこっちへ歩いてくる。
「…ひゃっ⁉︎」
気がつくと私の身体は宙に浮いていた。
目の前に男の人の顔があるし、めっちゃ覗き込まれてるし…
どうなってんの⁉︎
懸命にジタバタしてみるけど、びくともしない細くて白い腕は私を抱えたまま
どこかへ歩いていく。
「りのちゃんめっちゃ軽いんですけど。
ちゃんとご飯食べてる?だいじょーぶ?」
「……」
いやいや、そもそもお姫様抱っこされてるこの状況が大丈夫じゃないんですっ
めっちゃ恥ずかしいし、怖いし、何されるか分かんないしっ。
「ふふっ。かわいー」
ジタバタしながらも真っ赤になった私を見て、すっと目を細めた男の人は、
この世のものとは思えないほど綺麗だった。