逃げ道を探すには遅すぎた
漫画やゲームやアニメは禁止。学校行事に参加するのも禁止。テレビはニュース番組以外は見させてもらえなかった。おしゃれやアイドルに興味を持つことも禁止だったし、友達を作ることも禁止だった。友達を作るのが禁止だった理由は、「低レベルな者とつるむと勉強ができなくなる」から。

「東大に入っていい企業に就職できなければ、死んだと当然だぞ」

「勉強を完璧にしなさい。遊びに行くなんて怠け者がすることよ!」

家にいる時は勉強することしか許してもらえなかった。塾や英会話などが毎日詰め込まれ、休日は朝から晩まで勉強。家族旅行はおろか近場の観光地すら遊びに行ったことなんてなかった。

両親は私や弟が学年で一番の成績じゃないと怒り狂った。問題を間違えれば暴力を振るわれることもあったし、食事抜きだなんて珍しくなかった。私の家は勉強と恐怖と暴力で支配されていた。

そんな生活を送り続けた私は、ついに東大受験をした。そして落ちた。不合格だと知った両親は今まで見たことがないくらいに怒り、私を家から追い出した。
< 18 / 49 >

この作品をシェア

pagetop