神殺しのクロノスタシス2
さて、次に向かうは三階第二魔導科学室。
僕は、急いで階段を駆け上がった。
「…っ」
僕は、気配を消して身を潜めた。
魔導科学室とやらも、既に戦闘が始まっていた。
いや、正しくは。
今から、始まろうとしていた。
こちらは、聖魔騎士団から派遣されてきたらしい魔導師が二人。
そして、相手は『アメノミコト』の暗殺者一人。
数としては、こちらが有利だが…。
「やべぇぞルイーシュ…」
聖魔騎士団の魔導師の一人が、冷や汗をかいて呟いた。
暗殺者に怯んだのだろうか。
いざとなれば僕も加勢して、3対1に形勢を…、
「何がですか?」
「何がじゃねぇよ。場所だよ場所!第二魔導科学室!」
「あ、はい。懐かしいですね母校ですし」
ん?
「ちげぇし!こんなところでドンパチやって、中の備品類壊したら、イレースに雷食らう羽目になるぞ!」
あ、建物の心配だったのか。
「成程。そうなると、来月のキュレムさんの給料が消し飛びますね」
「お前は負担する気ないのかよ!」
…何だろう。
先程屋上で感じたものと、同じ気配を感じ始めてきた。
「良いか、被害は最小限に。最小限に抑えて倒すぞ」
「でも難しいですね。俺達の戦闘スタイルだと」
「あぁ。超高難度だ」
彼らの戦闘スタイル…?
常日頃から、二人で組んでいるのだろうか?
だとしたら、下手に僕が加勢したら邪魔になるだけだが。
そのとき。
『アメノミコト』の暗殺者が、先の鋭いクナイを投擲した。
不味い、と思ったときには、僕は動いていた。
あのクナイには、先程の針と同様、強力な毒が塗られている。
爪の先ほども、かすらせてはいけない。
僕の抜いた刀が、クナイを残らず叩き切った。
「…」
「…」
キュレムとルイーシュ、と呼び合っていた二人の魔導師は、たった今死にかけるところだったことも知らず。
突然戦闘に介入してきた僕を、じっと眺め。
「…これ、敵ですかね?」
「馬鹿。守ってくれたんだから味方だろ」
これ呼ばわりされた。
助けたのに。
「…貴様…裏切っておいてのうのうと…」
『アメノミコト』の暗殺者が、爆発的な殺気を放って僕を睨んだ。
…裏切ったことについては、言い訳のしようもないが。
僕も自分の道を決めたからには、もう後戻りは出来ない。
「…なんか雰囲気的に、俺達帰っても良くないですか?ほら、こう因縁の対決的な…」
「ねぇよ。折角来てくれたんだから、三人で戦えば良いだろ」
よく分からないが、僕は加勢して良いのか。
下手に動けば、二人の連携を崩してしまうことになる。
出来るだけ慎重に、
「よし、ここは綿密に作戦を立てましょう」
気持ちは分かるが、敵の前で作戦を立てるな。
「何だよ作戦って」
「いつも通り戦う。以上」
「雑!ってかそれ、なんも作戦じゃねぇ!」
あと、僕はあなた達の「いつも通りの戦い」が分からないから。
余計に、どう動いたら良いのか分からなくなった。
「あぁもう知らね!イレースに怒られたら備品代折半だからな!」
「大丈夫ですよ。『室内に』被害を出さなければ良いだけでしょう?なら簡単です」
何が?
「で、僕は何をすれば良いの?」
「あなたもいつも通りで良いですよ」
こんなに雑な作戦が、未だかつてあっただろうか。
だが、戦いは既に始まっているのだ。
悠長に話し合っている時間はない。
いつも通りと言われたのだから、いつも通り戦うしかない。
もうどうにでもなれとばかりに、僕は両手に刀を構えた。
僕は、急いで階段を駆け上がった。
「…っ」
僕は、気配を消して身を潜めた。
魔導科学室とやらも、既に戦闘が始まっていた。
いや、正しくは。
今から、始まろうとしていた。
こちらは、聖魔騎士団から派遣されてきたらしい魔導師が二人。
そして、相手は『アメノミコト』の暗殺者一人。
数としては、こちらが有利だが…。
「やべぇぞルイーシュ…」
聖魔騎士団の魔導師の一人が、冷や汗をかいて呟いた。
暗殺者に怯んだのだろうか。
いざとなれば僕も加勢して、3対1に形勢を…、
「何がですか?」
「何がじゃねぇよ。場所だよ場所!第二魔導科学室!」
「あ、はい。懐かしいですね母校ですし」
ん?
「ちげぇし!こんなところでドンパチやって、中の備品類壊したら、イレースに雷食らう羽目になるぞ!」
あ、建物の心配だったのか。
「成程。そうなると、来月のキュレムさんの給料が消し飛びますね」
「お前は負担する気ないのかよ!」
…何だろう。
先程屋上で感じたものと、同じ気配を感じ始めてきた。
「良いか、被害は最小限に。最小限に抑えて倒すぞ」
「でも難しいですね。俺達の戦闘スタイルだと」
「あぁ。超高難度だ」
彼らの戦闘スタイル…?
常日頃から、二人で組んでいるのだろうか?
だとしたら、下手に僕が加勢したら邪魔になるだけだが。
そのとき。
『アメノミコト』の暗殺者が、先の鋭いクナイを投擲した。
不味い、と思ったときには、僕は動いていた。
あのクナイには、先程の針と同様、強力な毒が塗られている。
爪の先ほども、かすらせてはいけない。
僕の抜いた刀が、クナイを残らず叩き切った。
「…」
「…」
キュレムとルイーシュ、と呼び合っていた二人の魔導師は、たった今死にかけるところだったことも知らず。
突然戦闘に介入してきた僕を、じっと眺め。
「…これ、敵ですかね?」
「馬鹿。守ってくれたんだから味方だろ」
これ呼ばわりされた。
助けたのに。
「…貴様…裏切っておいてのうのうと…」
『アメノミコト』の暗殺者が、爆発的な殺気を放って僕を睨んだ。
…裏切ったことについては、言い訳のしようもないが。
僕も自分の道を決めたからには、もう後戻りは出来ない。
「…なんか雰囲気的に、俺達帰っても良くないですか?ほら、こう因縁の対決的な…」
「ねぇよ。折角来てくれたんだから、三人で戦えば良いだろ」
よく分からないが、僕は加勢して良いのか。
下手に動けば、二人の連携を崩してしまうことになる。
出来るだけ慎重に、
「よし、ここは綿密に作戦を立てましょう」
気持ちは分かるが、敵の前で作戦を立てるな。
「何だよ作戦って」
「いつも通り戦う。以上」
「雑!ってかそれ、なんも作戦じゃねぇ!」
あと、僕はあなた達の「いつも通りの戦い」が分からないから。
余計に、どう動いたら良いのか分からなくなった。
「あぁもう知らね!イレースに怒られたら備品代折半だからな!」
「大丈夫ですよ。『室内に』被害を出さなければ良いだけでしょう?なら簡単です」
何が?
「で、僕は何をすれば良いの?」
「あなたもいつも通りで良いですよ」
こんなに雑な作戦が、未だかつてあっただろうか。
だが、戦いは既に始まっているのだ。
悠長に話し合っている時間はない。
いつも通りと言われたのだから、いつも通り戦うしかない。
もうどうにでもなれとばかりに、僕は両手に刀を構えた。