神殺しのクロノスタシス2
後で聞いたところによると。

あのルイーシュという魔導師は、空間魔法の使い手で。

雨あられのように降り注ぐ魔弾を、敵に気づかれないよう異空間に「転送」して集め。

巨大な魔弾の塊と化した状態で、空間転移させて、キュレムの横っ腹にぶっ飛ばし。

その隙に、敵の背後を掻き斬ろうとしていた僕を同じく、敵の真正面に「転送」して斬らせ。

その後で、窓を吹き飛ばして落下中だったキュレムを、同様空間魔法で「救出」し。

もとの場所に戻したと。

そんな偉業を、あの一瞬でやり遂げたのだと思うと、驚嘆に値するが。

如何せん心臓に悪いので、もう二度と関わりたくない魔導師である。

あと、割れた窓ガラスの修理代は、しっかりキュレムが払わされたらしい。

ルイーシュ曰く、「魔導科学室の備品代よりは安く済んだんだから、良いじゃないですか」とのこと。

やっぱり関わりたくない魔導師である。

で、それはともかく。

三階が終わったら、次に向かうのは左棟の講義室。

既に、派手な戦闘音が聞こえていた。

先程までの比ではない。

もしかしたら、『アメノミコト』の中でも、特に手練れの暗殺者が奇襲してきたのかもしれない。

すぐにでも助太刀しなければ。

全速力で廊下を駆け抜け、刀を抜こうとした…、

「遅くなってごめ…、」

の、だが。
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