眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛


 舞踏会が終わり、ヴェルデとローラは屋敷へ戻ってきた。夜はもう遅く、二人はすぐに寝る支度を済ませて寝室で話をしていた。

「今日はお疲れ様。ローラ、本当に素敵だったよ」

 ベッドの端に腰掛け、ローラの両手を掴んでそう言うヴェルデ。隣に座るローラはヴェルデを見て微笑んだ。

「ヴェルデ様がいてくださったから、あんな風に堂々と伝えたいことを言えたのです。皆様にもわかっていただけて本当によかった」

 ほうっと息を吐くローラを、ヴェルデは優しく抱きしめた。

「本当はあの場でこうやって抱きしめたかった。ローラは本当にすごいよ。俺の自慢の奥さんだ。絶対に、手放さない。ずっと一緒だ、ローラ」
「……はい、もちろんです」

 ヴェルデの腕の中でふふっと小さく笑うローラに、ヴェルデは体を離して顔を近づけ、キスをしようとする。だが、なぜかローラが緊張したようにぎこちなくなった。

「ローラ?」
「あっ……すみません」

 ローラの目が泳ぐ。ヴェルデは不安そうな顔でローラを覗き込んだ。

「ローラ、どうかした?」
「いえ、あの……」
「もしかして、ノエルのこと気にしてる?」

 ヴェルデの言葉に、ハッとローラが顔を上げた。その顔を見て、ヴェルデは悲しげに眉を下げる。

「そうなんだね。彼女のこと、言ってなくて悪かった。正直、ノエルのことはすっかり忘れていたんだ。本当だよ、信じてくれ」

 ローラの両腕を掴むヴェルデの手に力が入る。

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