【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
聖女は王太子殿下の婚約者。とはいえ、力を失うこともあるために名ばかりだ。孤児の聖女をめとるとは、王太子殿下も疎ましく感じているはずだ。よくて側妃、婚約破棄もあり得る。未来の王妃は血筋のたしかな令嬢がなるべきだ。
孤児は身の程をわきまえよと、しっかり教育しなおさなくてはならない。
神官は長官室に向かい事態を説明して、神官長と数人の神官たちを引き連れて聖女の元に戻った。
いつものようにずらりと居並んで威圧を与え、神官長は苦言を呈したのだが、聖女はひるむことなく態度を変えなかった。
「この部屋の清掃や衣服の洗濯だってそうです。どうしてわたくしがしなければなりませんの? 誰のおかげで国が護られていると思っているのですか。身の回りのせわをする下女を要求しますわ」
聖女は日課である聖物作りもしなくなった。聖女は知らないが、聖物は国民に無料配布しているものではない。
エリアナが作る聖物は、持っているだけで瘴気を浄化してけがや病気も治癒する。商人たちが死の森を渡るのにも必要不可欠。国内だけでなく他国に高値で流通しているもので、得ている収益は莫大なものである。
それが途絶えるのは非常にマズい。神官たちは一般の民よりも聖なる力を持ってはいるが、多くの聖物作りはできない。一日一個が限界だ。それゆえ貴重なものと認識されている。
しかし忌々しいことに、エリアナは手をかざすだけで箱一杯の魔石を数分で聖物にする。流通を求められれば、縛り付けて脅してでも聖物作りをさせねばならない。
最後の手段は監禁だ。
「とにかく、わたくしは安易に仕事をいたしませんわ! 報酬を頂かなければいたしません。そのように決めたのですから」
聖女はツンとそっぽを向いた。憎らしい。孤児のくせに力があるおかげで生活できているのだから、出し惜しみするなと憤るばかりだ。