【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
──勝手に開いたの?
騎士の声も、魔道具でどこかに届いたということだろう。さすが魔術師部である。
騎士の案内はここまでのようで、三人で中に入るように促された。
扉が勝手に閉まり、窓もないので薄暗い。なにもないホールの中央に光る魔法陣が現れたのと同時に人が出現した。
トーイと同じ格好のメガネをかけた男性である。長い杖をしゅんっと縮ませて懐に仕舞う。
「ようこそ魔術師部へ!!」
ぺかーっと輝くような笑顔をエリアナに向ける。
「今か今かとご到着をお待ちしておりました!! 私は副長官のパックンと申します!!」
いきおいよく歩いてエリアナの前に立ち、しゅばっと手を握ろうとしたところをちび獅子の肉球がぺしんとはじいた。
「は……はじめまして。解呪師のエリアナ・ルルカです」
ちび獅子はタジタジするエリアナの前で護るように陣取る。それにめげずにパックンは顔をずいっと近づけようとし、ちび獅子の肉球パンチを額に食らった。
「ええ、ええ、ルルカ伯爵さま、存じておりますとも!! さあ、さっそく上へまいりましょう!!」
頭と肉球。互いにぐぐぐっと押し合いを繰り広げながらも、パックンの声は勢いをそがれることがない。
「副長官、目に入ってないようだが、俺も一緒にいるのだが?」
「アルディナル大公殿下。もちろん、認識してございます! 護衛の方もです! さあみなさま。上階では、ルルカ伯爵さまの仲間が首を長くして待っておりますよ!!」
パックンが押し合いの闘いでずれたメガネを直しつつホールの中央に向かい、ようやくちび獅子は肉球を引っ込める。
「ナギュルスよくやった」
ルードリックが小声でねぎらい、ちび獅子は「当然」とばかりにどやぁっと胸を張っている。
エリアナはこのわずかなやり取りで、魔術師たちのむさくるしさ具合を察したのだった。
「さあ、魔法陣の中へおいでください!」