【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
 ぺかーっと笑うパックンの誘導により、エリアナはちび獅子を抱っこして上階に移動した。

 一瞬暗闇になり、つぎに人影が目に入った途端、パーンと破裂音が響いた。マクスがエリアナの前に躍り出て剣を構え、ルードリックからは両腕で庇われた。

「ようこそ! 解呪師・ルルカ伯爵さま!」
「え?」

 多数の声と、ようこそと文字が書かれた布がびら~んと広げられ、大歓迎の玉が割れて紙吹雪が舞っている。

 唖然としたエリアナのそばで、ルードリックは「玉の破裂音か。人騒がせな」と安堵の息をついている。

「ルルカ伯爵! 我ら魔術師一同は解呪師の誕生を心より歓迎しております!」

 わーっと歓声が上がって拍手が沸き起こる。こんなに大変な歓迎ぶりは、予想もしていなかった。

「えっと、みなさま、はじめまして。あの、伯爵ではなく、気軽にエリアナとお呼びいただけると助かります」
「では、エリアナ殿とお呼びしましょう」

 パックンが案を出し、魔術師たちはいっせいに同意の声を上げる。

「さあ、同胞たちよ。仕事に戻りなさい。エリアナ殿に部内を案内せねばなりません」

 パックンがきりッとメガネを光らせると、魔術師たちはおとなしく散っていく。

「では私がエリアナ殿を案内しつつ部の仕事を説明し、最後に長官より承ったテストを実行いたしましょう」

 塔は八階建てで、一階はホール、二階から六階までは魔術師たちの個室と仕事部屋、書物室、七階は領地へ移動するための魔法陣があり、八階は長官の執務室と移動魔法陣、個室、実験部屋があるという。

「副長官の私の部屋は六階にあります。ちなみに、エリアナ殿の個室は八階に準備されていますが……」
「ほう。ここに個室があっても使うことはないが、用意されているのは好ましい」

 エリアナが物言う前に、ルードリックが冷えた声を出した。パックンの額に冷や汗が浮かぶ。
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