【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
置物、絵画、アクセサリー、毒のある植物、飲食物、檻に入れられた小さな魔物などだ。
それらから発する黒い靄と赤い靄、さらにピンクの靄が入り混じって不気味な空間と化している。
置くだけで影響を与える呪物の類は、封じの陣の上にあるようだ。それでも悪しき力が漏れ出すのは、相応の強い呪力が込められているのだろう。
集中すれば、それらの上にフワフワ浮かぶ文字が見える。
──衰弱系、洗脳系、麻痺や意識を混濁させる毒……。
数種類の呪いが混じった呪物もあり、パッと見てどれがなんだか判別ができない。
「我らはどのようにして解呪されるのか、長官から伺っております。ですが、正直言って我らは信じていません。触れるだけで解呪するなど、魔道具などの仕掛けがあるに違いありません」
「貴様はトーイ長官を信用しないばかりか、貴重な存在であるエリアナさまを侮辱するのか!」
ステアートの言葉に真っ先に反応したのはマクスだ。
「エリアナは皇帝からも信を得ている」
冷静に言い放ったのはルードリックだ。
無自覚に力を使っていたエリアナは恐縮するばかりである。
「大公殿下、マクス卿。ご気分を害したら申し訳ございません。信じていないと言うより、彼らは信じられないのです。かくいう私も」
パックンが真摯に謝罪の意を見せ、ルードリックとマクスは矛を収める。
「セリーナは魔術師部一、解呪の才を持っています。あらかじめ解析しておいた呪物の解呪をしますので、まずはご覧ください」
セリーナが封じの陣の上から取り出したのは、婦人用のブローチだ。
エリアナの目には【魅了】のピンク文字が躍って見える。
「このブローチに掛けられているのは〝魅惑〟です。これを身に着けているだけで殿方たちの心を虜にして、侍らせることができる。既婚者でも独身者でも、何人でも。強い呪術師が作ったとても強力な呪いです」