【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

お茶会で洗礼を受けました


 魔術師部訪問から幾日かが過ぎたある日のパール宮殿。宮殿庭師が丹精込めて整えた美しい庭園に集まるのは着飾ったご令嬢たちだ。

 キラキラと降り注ぐ陽光を遮るパラソルの下、テーブルには色とりどりのスイーツが並べられ、薫り高いお茶が呈されている。

 このお茶会の主催者はエリアナ。皇都にいるならば貴族として社交をするべきだと周囲に求められ、開催するに至ったのである。
 初めての催しに右も左もわからぬまま、ルードリックのアドバイスを受けながらも四苦八苦して準備したのだった。

 招待したのは先のアカデミー事件で婚約者たちが呪いにかかり、エリアナが解呪した経緯で知り合った四人。
 皇子殿下の婚約者候補のアマンダ・クラッチェ、宰相子息の婚約者のカトリーヌ・ベイン、アマンダの兄の婚約者のスザンナ・シュバルツ、騎士団長子息の婚約者のマリアンヌ・サブレボートだ。

 最初の話題は婚約者たちとのその後の報告だ。彼らは呪いにかかっていた時の記憶をうっすらと取り戻したらしく、己の愚行を恥じてひと月の謹慎処分を真摯に受け止めた。

 呪いにかかったのは不可抗力だったと言えるけれど、警戒することもなく婚約者以外の女性と何度も接して事態を深刻化させたのは浅はかであると、次代を担う者としての矜持が方々から問われているらしい。
 次期当主の約束がいったん白紙になった子息もいる。

「何度も忠告したのに正さなかったお兄さまがいけないのです。当然の処置ですわ」

 冷めた声で言い放ったのはアマンダだ。

 子息たちの婚約を見直す動きもあったというけれど、彼女たちは彼らを許して破棄しなかった。これから汚名返上に奮闘する子息を婚約者として支えていくと話す。

 そんな彼女たちに悲壮感は毛ほども感じず、終始明るい笑顔だ。関係が悪化している場面を目にして心を痛めていたエリアナは一安心である。

 ──ほんとによかった。みんな、強いわね。

 皇子殿下は二番目だった皇位継承順位が四番めにさがった。ルードリックが三番めに繰り上がったことになる。

 その処分に、ルードリックは「辞退すれば継承することはない。順位などあってないようなものだ」と、冷静に受け止めていた。
 そもそも守護獣スサノーンを制御できる力がなければ皇帝になれない。ヘイブン皇帝陛下は先の皇帝が崩御されたあと、神獣の間でスサノーンが吐き出す爆炎に耐えきり契約して力を示した。順位は挑戦できる順番でしかないというのだ。

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