【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「わたくしはちらっとしかお見掛けできなかったけれど、エリアナをエスコートしていた殿下は特別な思いを抱いていると感じられましたわ」
カトリーヌが訳知り顔でウィンクをしている。
「あわわ、そんなふうに見えたのですかっ」
「ええ、そう見えましたわ」
なぜか全員が声をそろえた。
──おかしいわ。さっきまで陛下の妃候補を推していたのに、どうして殿下のお話に?
けれど、女性を近づけなかったルードリックが唯一手を取るのがエリアナだけなのだから、そう見えても仕方がないかもしれない。
エリアナが距離を縮められたのは解呪の力があったおかげで、伯爵になった今は側近扱いに変わったものの、依然として雇用主と使用人の関係である。
廊下の掃除をしていたあのときに、幼児姿のルードリックを見つけなければ一生関わることはなかったはずだ。
力が判明することもなく大公城の掃除係として給金をもらい、平民として平凡で幸せな生活を送っていたと思う。
「婚約もあり得るのではないかしら」
「私となんて、殿下にご迷惑ですよ!」
エリアナはたまたま伯爵位を授けられただけの平民だ。高貴な方の伴侶になれるなんて、勘違いしてはいけない。
そもそもサリナが許しはしないだろう。初めて会ったとき、嫁は相応の令嬢にするべきと諭していたのだから。
「いやだわ、エリアナったら。ご自分の魅力を自覚なさった方がいいわよ。パーティでも貴族令息たちが頬を染めてそわそわしていたもの」
「はわわわ、そんな、まさかです」
「そうそう。お声をかける前に大公殿下がさらっていってしまったって、わたくしの従兄も残念がっていましたもの」
「今を時めく解呪師さま、婚約の申し込みが殺到しているのではなくて?」
「もっ、殺到してませんからっ」
エリアナが顔を真っ赤にして否定すると、みんな、ほほえましいものを見るようにして、コロコロ笑っている。