【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
ここでようやくエリアナは気づいた。
「もうっ、からかわないでください」
妃候補といいルードリックとの婚約といい、実際にエリアナのもとに話がきていないのだから、彼女たちは憶測で話を膨らませているだけにすぎない。
目まぐるしく話題が移っていくのに話をつなげていく連携がうますぎて、エリアナにはとうてい太刀打ちできない。初社交の洗礼を受けてしまっていた。
──令嬢の社交、恐るべし。
ぽやぽやしていると思いもよらぬことで言質を取られかねない。
でも、これがずっと憧れていた年頃の友人とのおしゃべりなのだ。こんなやりとりも、嫌でなく楽しいと思える。
おいしいお茶とお菓子、友人たちとの語らいの時間は瞬く間に過ぎていく。
陽が傾き始めたころにお開きとなり、アマンダたちは次回のお茶会の約束をして帰宅していった。
「冷えてまいりました。エリアナさま、宮殿に戻りましょう」
「ひゃっ」
友人たちを見送って楽しさの余韻に浸るエリアナに声をかけたのは、侍女のマリービクスだ。
伯爵位を賜ってからルードリックが手配してくれたエリアナの侍女なのだが、彼女は気配もなく、いつのまにかそばに来ているから毎回驚いてしまう。
お茶会の最中にもそばに控えていたはずだけれど、その存在も忘れてしまっているのだから、まったく不思議な人だ。
びっくりドキドキする胸を押さえつつ振り返れば、当のマリービクスはずっとここにいましたという体で控えている。
もしかしたら、トーイの認識除外のような魔術を使っているのかもしれない。侍女なのに、それが必要とは思えないけれど。
──でも魔術師の杖を持ってないし、単に存在感が薄いだけなのかな。
「そうね、殿下はもう戻ってこられたかしら」
「そろそろお帰りになる頃と思います」