【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
子ども化の呪いが解けたルードリックは精力的に皇都での用事を済ませている。今日は数年間放置しているというタウンハウスに行くと言っていた。
ルードリックだけでなく、トーイも多忙だ。トーイはコール伯爵とアカデミーの事件にかかわった呪術師を捕えるよう陛下から命じられている。多忙すぎてパーティにも出席することがなかった。
『エリアナ~、癒しをください~』
エリアナの癒しの歌を求めに来たトーイはヨロヨロして倒れそうだった。あまりの疲弊ぶりに手伝いを申し出たのだけれど、解呪師の仕事は呪いを解くことだ。捜査や捕縛は業務外だと断られてしまった。
加えて「エリアナは伯爵としての社交を身に着けてください」と、にっこり笑顔で圧をかけられればもうなにも言えない。
──困ったわ。社交なんてどうしたら身につくの?
トーイの言う社交とは、令嬢とのおしゃべりではなく、彼女たちの親である当主との付き合いなのだ。エリアナにはこなせる自信がない。
ルードリックは「難しく考えなくていい」という。そのあともぼそぼそと付け加えていたけれど、よく聞こえなかった。聞き返したけれど、なんでもないと返されてそのままだ。
「あら? あの方、どうしたのかしら」
宮殿に戻る途中の小道に、うずくまっている人を見つけた。
きれいなドレスを身に着けた家柄の良いご令嬢に見える。おつきの侍女が懸命に背をさすっているが、手の動きに合わせて背中にうっすらと黒い靄が立ち上っていた。
──あれはなに? もしも呪いだとしたら……。
急いでそばにいこうとすれば、マリービクスに「いけません」と強く制された。
「エリアナさま。安易にお近づきになってはいけません」
具合が悪いと見せかけ、懐にナイフを忍ばせている可能性があるという。過剰だと思うが、解呪師を邪魔に思う一派が命を狙う危険はあるのは否めない。