【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
悪役令嬢、ヴァイオレット・コールです
日々練習を重ね、とうとう皇太后のサロンに参加する日が来た。
「エリアナ、少しいいか?」
黒いドレスに黒い扇子。戦闘準備万端に身支度を済ませたエリアナのもとに訪れたのは大公姿のルードリックだ。かわいらしい幼児姿とは違って立派な威厳とオーラを放ち、輝くほどに麗しい。
「殿下、おはようございます。どうなさったんですか?」
エリアナは目をシパシパさせて向きあった。
「出かける前に済まない。これをきみに渡しに来たんだ」
「わあ……きれいな髪飾り。これを私にくださるんですか?」
侍従が恭しく差し出した小箱にはダイヤモンドがきらめくアクセサリーがあった。
ルードリックは侍従が持つ小箱からそれを取り出し、エリアナの赤い髪にそっと触れた。その瞳は澄んだ青色に変化している。
ウィッグに触れて解呪できるのは、先の魔術師部での確認のとおりである。エリアナが身に着けているものには解呪の力が宿り、呪いにかかっている者がそれに触れれば悪しき力が破壊される。
二十センチほどの距離に対象があれば触れずとも解呪可能だけれど、強力な対象は触れなければならない。
「うん、赤い髪も意外に似合うな」
ふっと満足そうに微笑み、髪飾りをつけてくれる。赤い色が認識できたのだ。エリアナもふわっとした心地いい感覚がして笑顔がこぼれる。
──殿下が笑ってくれるだけでうれしい。それに、すごくドキドキする。どうしてかしら。
「別人になり切れてますか?」
「ああ、誰もエリアナとは思わないだろう」
髪から手を離せば青灰色の瞳に戻った。ルードリックの瞳が残念そうに揺らぐ。
「これはお守りだ。妃候補をする期間、常につけていてくれ」
「はい。殿下、ありがとうございます」