【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
まずは妃候補の顔ぶれを確認する。エリアナを除いた候補は十人。二百人ほどいた候補のうち書類選考と教養の試験で合格し、狭き門をくぐった人たちだ。
みんな陛下の妃となるべく、家の期待を背負い、幼少のころから努力を重ねてきたのだ。卑怯な手段で皇妃の座を得れば努力は無に帰す。
ルードリックの話によれば、ルシータ・スグレテイルが『腹痛』を起こしたのは前回のサロンでのこと。痛みをこらえてなんとかやり過ごせたものの、滞在している宮殿に戻る途中で力尽きた。そこをエリアナが発見したということだった。
悪しき力の源は不明だけれど、犯人はサロン中に『腹痛』を起こすことでルシータの途中退席を狙った。途中退席するのは準備不足や体調管理不足で失点と評価される。皇妃となるライバルを蹴落とすためにやっている。犯人は上位、二番目から五番目あたりの候補か。というのがルードリックの考察だった。
──今のところ、テーブルに並べられているものから悪しき力は感じられない。候補たちからも感じない。
このままなにも感じずに『腹痛』は妃候補に関係がないと判断できれば、エリアナの任務はひとまず終了となる。
解呪したおかげでルシータには同じ悪しき力は使えなくなったし、ほかの候補たちが無関係なのが一番いいのだけれど。
扉がパッと開き、令嬢たちが一斉に立ち上がって礼を取る。皇太后のお出ましである。皇太后はしずしずと進み椅子に着席すると皆に座るよう合図した。
「今日は新たな候補者が加わっています。彼女は教養の試験にトップの成績で合格、隣国に留学していた才女です。候補になるべき令嬢と判断いたしました」
──才女……!?
「まあトップだなんて、ルシータさまをお抜きになったの?」
驚きの声が上がった。まさかの資質もりもりの設定である。聞いてないエリアナは「はわわ」と声が漏れそうになるのをぐっと耐えた。