【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「まあ! なんてこと!」
フロリアは青ざめて立ち上がりそうになり、候補たちは一様に恐怖に身をすくませている。その中でルシータだけは、青ざめながらも皇太后を護るようにして腕を伸ばしていた。
──さすがルシータさま。
「大丈夫、恐ろしくありませんわ」
エリアナが手を離すと、小さな羽をパタパタさせて円を描くように飛ぶ。最高にかわいいではないか。
けれどそれを見上げる候補たちの様子は、恐怖心と好奇心とかわいいものを愛でる心が激しく衝突しているようだった。
そんな中ヒロイニアが糾弾の声を上げる。
「嘘ですわ! そもそも雷撃の守護獣はそんなにかわいらしくないでしょうし、大公殿下が大切な守護獣をヴァイオレットさまに託すことなどありえませんわ! ぬいぐるみを魔道具で飛ばしているに違いありません」
びしっと指さして言い切った。
しかし、もっともな意見でもある。
守護獣は主のそばを離れないし、主以外の命には従わない。それなのに、ちび獅子がいつもエリアナにくっついているのはなぜか。ルードリックによれば、エリアナの力で眠りから覚めたのも原因の一つだという。
それにもともとの主であるアクエラ神の権能を授かったエリアナに守護獣が従うのは当然であり、雷撃も使えるかもしれないというのだ。
「そんなことはございませんわ。兄のマクスは殿下の信頼厚き騎士、わたくしは一番皇妃に近い候補。大公殿下が協力して、特別な【黒】を貸してくださるのは当然じゃありませんか」
パンと手を叩くと、ルードリックとあらかじめ打ち合わせをしていたとおりに、ふわりと大きくなった。エリアナの背丈ほどに大きくなったちび獅子の頭を撫でる。
「ぐぬぬぬ……これもきっと魔道具ですわ! わたくしが暴いてみせます!」
悔し気に顔をゆがめたヒロイニアがすっくと席を立った。
「ヒロイニアさま、危険ですからおやめになったほうがよろしいですよ」