【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「ヴァイオレットさまは、大公殿下やマクス卿と同じ宮殿においででしょう? 解呪師さまとお会いになったことありますの?」
お茶会のテーブルで話しかけてきたのはフロリアだ。
「いいえ、お忙しいお方ですもの。お会いしたことはございません」
解呪師エリアナはトーイと一緒に帝国中を駆け回っていて、皇宮にはいないという設定だ。
「まあ、そうなんですの。解呪のお仕事も大変ですのね」
「解呪師さまといえば、この皇都でも密かに呪物が出回っていると噂で聞きましたわ」
「そういえば、呪術師が皇都に出没したとも聞いたことがあります」
「皇子殿下が被害に遭われたアカデミーの事件も呪術師がらみだったのでしょう?」
「呪物が広まっているのかしら? 恐ろしいわ」
候補たちが不安げに話す中、フロリアはなにかを考えこむような雰囲気を纏う。
「皆の者、待たせたな」
颯爽と歩く陛下と皇太后が庭園に現れると雰囲気が一変する。
「まあ、陛下。今日も美しいわ」
「ほんとうに、神と見まごうほどです」
候補たちがほぅと感嘆の息をついて見惚れている。さすが陛下である。
華美な衣装ではないのに美しくきらびやかな雰囲気を纏っていて、いたずら好きで少しばかり残念なところがあるなど微塵も感じさせない。
陛下は皇太后と一緒にガゼボの中に収まった。
エリアナと視線が合うと陛下は二ッと口角を上げる。階段での騒ぎはとっくに耳にしているのだろう。きっと仔細を問われるはずだ。
今日のお題は【茶葉と陛下との会話】だ。陛下とお茶を飲みながら会話をするというもの。候補たちはみんな自慢の茶葉を持参していて、お茶を入れるのも候補の役目だ。
エリアナが持ってきたのはアマンダが手配してくれたローズ茶で、温度調節、蒸らす時間、注ぎ方など、しっかり厳しいレクチャーを受けている。