【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「ふむ……ルードにも入れてやれ。喜ぶ」
本当に喜んでもらえるのだろうか。ローズ茶を飲んでふわりと微笑む顔を思い浮かべて知らずに頬を緩めた。
「……はい」
「……うん。してエリアナよ。階段に呪物が仕掛けられていたのだろう。犯人の見当はついているか?」
ガゼボの中の空気が急変し、背筋が凍るような気に包まれる。陛下はかなり怒っているのだ。
「はい、おそらくは」
最近は多くの呪物をあつかっているせいか、彼女から呪術の名残を感じる。けれど、呪物を購入しているのか、彼女自身が呪術師なのかわからない。
階段の呪物は小さな布だった。エリアナが解呪すれば掻き消えるような小さな布。小さな物に魔法陣を描くにはそうとうの力を持っていなければできないと、トーイから教えられている。
部屋を捜索すれば呪物が見つかるかもしれないが、見つからなかった場合にはあらぬ疑いをかけた責任を取らねばならないのだ。慎重な発言を求められる。
「いくら善人を装おうとも、出ているしっぽは隠せていない。じきに暴かれるから、エリアナは言及しなくても良い」
陛下も犯人の見当はついているような口ぶりだ。
「この私の管理下で好き勝手やってくれるものだ。さて、どう始末をつけるか」
悪い顔をした陛下が顎に手をやった瞬間、テーブルの下部から声がした。
「はっ、そんなものは簡単だ。ヘイブンが囮になればいい」
──え?
一瞬、ガゼボの中の時が止まった。
「で、でん……!?」
幼児姿のルードリックがいつの間にかちょこんと椅子に座っていた。エリアナはとっさに口をふさいで心臓をバクバクと躍らせる。
そんなエリアナとは逆に、陛下も皇太后もさほど驚いた様子はない。
「おお、神出鬼没だな、ちびっ子ルードよ」
「秘密裏に来るためにトーイの転移をかりただけだ」
「私は魔術を許可していないが?」
「俺が許可したんだ。問題ないだろう」