【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「問題あるだろう」
陛下がむすっとしても、ルードリックはしれっとしている。本来転移魔術などの高等な魔術道具は陛下の許可なく発動できないらしい。
それをかいくぐったルードリックは皇族だからなのか、発動できるぎりぎりの魔力に抑えてあるのか。
「そもそも呪物が入り込む隙があるんだ。皇宮結界が弱いんじゃないのか」
ルードリックが指摘し、陛下はぐっと押し黙る。そんななか皇太后はルードリックをじっと見つめ、うれしそうに目を細めていた。
「あらあらアルディナル大公殿下なのよね? 陛下から聞いてはいたけれど、ほんとうにずいぶんと若返ったこと」
「色々ありまして、ナギュルスの力を借りて擬態できるようになったのです」
「あらまあ、そうなの! 細かいことは置いといて、とてもかわいいわ。もう少しそばにいらっしゃいな、幼いころはイチゴタルトがお好きだったとサリナから聞いてましてよ」
皇太后は喜んでお菓子をすすめている。
皇太后から完璧に幼児扱いされ、少々戸惑いながらも逆らえないらしい。お菓子をもくもく食べるルードリックは誰が見ても完璧な五歳児だ。愛らしい。
──サリナさまも皇太后さまも、母親の取る行動は同じなのね。
「陛下の幼いころを思い出しますよ」
ほっこりほのぼのとする皇太后、結界管理の甘さを突かれて少し不機嫌な陛下、ふたりの間に挟まって勧められたお菓子をほおばるルードリック。エリアナは放置され気味だ。
──この状況、どうすれば……?
微妙な空気を破ったのは頬にクリームをつけたルードリックだった。
「結界を強めれば発動できない生活魔道具も出てくるだろう。薬品にも微量の毒が含まれるものもある。その中で呪術のみを排除するのも難しい」
皇宮の結界は古代魔道具で張られているが、機能がおおざっぱで生活魔道具も無効にする。スサノーンの力で意図的に弱めているという。