【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
予想外にも名を出されてエリアナは驚き、陛下はにやりと笑う。
「ほう? ヴァイオレット嬢から、そなたの領地特産のマロベニ茶をもらったというのか」
「はい、しっかりご用意されていました。このお茶に混じっている薬もそうでしょう。馬車が遅れているのも、ヴァイオレットさまがわたくしを貶めようと計画して工作なさったに違いありません! ですから、飲むべきなのはヴァイオレットさまでございます!」
「……なるほど?」
陛下が納得するようなそぶりを見せると、モブダナー伯爵令嬢は語気を強める。
「陛下! 今まで黙っていましたが、告発いたします! ヴァイオレットさまはわたくしに様々な嫌がらせをなさっているのです! 彼女は皇妃にふさわしくありません! 候補から外すべきだと進言いたします!」
モブダナー伯爵令嬢がエリアナを見た。その顔は震えを隠していても泣きそうで、エリアナには助けを求めているように感じた。
事情がありそうで気の毒だけれど、エリアナにはどうすることもできない。
「たしかに、才女のヴァイオレットさまなら、工作するのも簡単でしょうか?」
シラーニャが意見を述べ、みながエリアナを警戒するように見る。
「マクス卿の助力もあるでしょうし……ねぇみなさま?」
パトリシアがちらりと候補たちを見る。
「シラーニャさまに同意しますわ。わたくしはヴァイオレットさまならやりかねないと、わかっていましてよ」
ヒロイニアが「ふふん」と笑った。
「お待ちになって、みなさま。ヴァイオレットさまのご意見をうかがうべきですわ」
フロリアが場をとりなして、心配げにエリアナを見つめる。
「わたくしの名が出て大変驚きましたわ。嫌がらせなども、まったく身に覚えのないことでございます」
エリアナはスッと立ち上がり、前に進み出た。
「僭越ながら、陛下。毒味として、わたくしがそのお茶を飲んでみましょう」