【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
成功したのが信じられなかったと同時に、恐ろしくて誰にも言ってはいけないとも思った。けれど、いけにえのおかげで魔術の力が強まっているのも感じていた。
人に使ったのは意地悪な従兄が最初だった。
叩かれて泣かされるばかりの相手を転ばせたら、大泣きして気分がスカッとしたのだ。
──これはいい。最高だ。
何度か仕返しをしているうちに恐ろしさは薄れていき、嫌いな相手に呪物を仕掛けて排除することになんの戸惑いも感じなくなっていった。
生意気な侍女は窓から転落させて再起不能にしたし、自分を馬鹿にする令息は池に突き落として溺れさせ、見下してくる嫌味な令嬢は蜂に襲わせて寝込ませ、トラウマを植え付けた。
普段から可憐でおとなしく慈悲深い令嬢を装っていれば、だれも疑いはしない。
──失敗続きなのは、ここが皇宮だからなの?
皇宮の結界のせいで無効化しているのか、転倒も転落も発生しない。腹痛だけは効果があったはずけれど、なぜかルシータは平気そうだし、お茶会があるたびにヴァイオレットに仕掛けてもケロリとしている。おかしい。
おかげでルシータを排除することも、ヴァイオレットに罪を擦り付けることもできていない。
おまけに今日のお茶会。
「あの女、陛下に求愛されていたわ!」
ぎりりっと歯嚙みし、クッションをボフボフ殴りつける。
「なんなのよ! なにを血迷ってるのよ! あんな不細工な悪女のどこがいいの! 才能も、美貌も、性格も、なにもかもが上質のわたくしが皇妃にふさわしいというのに!」
それなのに陛下に見向きもされていない。
だから、取るに足らない地味女が起こした事件でできたすきに、ヴァイオレットの茶器に破裂の呪物を張り付けた。持った瞬間に破裂してきれいな肌を切り裂くように。一生治らない傷持ちになり、選定試験からも社交界からも永久退場するように。
なのに。
「どうして発動しない!?」