【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
侍女を相手にこっそり実験したときは完璧に発動したのだ。腕に大きな怪我をして、今も治療中だ。
まさかヴァイオレットつきの侍女が気づいて外したのか。いつも鋭い視線を向けてくる、あの無礼で恥しらずな侍女が。
──でも魔術師部の長官だって速攻外しは不可能。そもそも気づくことさえできないはずよ。無能な侍女がそんな力持ってるなんてありえない。
解呪するには呪術を解析して解呪魔法陣を発動させなければならない。アカデミーの事件を解決した解呪師だって速攻外しは無理なはずだ。
皇宮の結界が強くなったのか。
「だって、見ていたもの。あの女はすました顔でカップに触れて、お茶を飲んでいた」
しかし、それならばどうして自分の侍女には発動したのか。あてがわれている宮殿の室内で試したというのに。
「もしかして、陛下と皇太后がいらっしゃる本宮の結界のみ強いのかしら?」
選定試験はいつだって本宮で行われる。
「そう、だから……なのね?」
すっかり腑に落ちて、にやっと笑みがこぼれた。
「わたくしは天才呪術師。そうよ。いっそわたくしに呪術の力があることを見せつければ、いいんじゃないかしら? そうすれば、『素晴らしい!』と感動して、陛下も皇太后もわたくしを皇妃に選んでくださるわ」
だって今日だってお茶に毒を仕込まれていたようだし、帝国を統べる皇帝の妻には護る力が必要だ。優れているだけの女や才女なだけの女に力はない。
敵の多い陛下を支えるには呪術が必要だ。この力さえあれば、恐ろしいと噂の炎の守護獣も簡単に制御できるはずだ。
それに雷撃の黒獅子だって、実物は大したことなかったじゃないか。無能なヴァイオレットが触れられるくらいだったのだから、多才な自分ならばなんの問題もない。