【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「ふふふふふ、守護獣より強いわたくしなら完璧。見てなさい、無能な女たちよ。皇妃の座はわたくしのもの。この国と陛下はわたくしが支配して差し上げるわ」
まずは陛下に力を見せよう。
ガゼボで妃候補を誘って狩りに出かけるつもりだと話していた。皇宮の外ならば呪術は使い放題。今度こそ失敗しない。
「狩りでけがを負わせ、わたくしが呪術で治療をするの。そうすれば陛下はわたくしに恩を感じるし、わたくしの美しさと強さと慈悲に感激して恋心を抱くはずよ。そして皇妃に望まれる。完璧な作戦よ!!」
木々がひしめく森の中ならば、すべてを燃やす炎の守護獣の力は使わないだろう。そうなれば陛下とて普通の人。呪術の餌食になるのは容易い。
ついでにヴァイオレットもルシータも排除すれば完璧だ。
「ふふふふふふ」
笑いが止まらない。呪物を仕掛けるのは簡単なのだ。木の幹、いすやテーブルの脚、草むら、小さな呪物は自分の手から離れれば自然に張り付く。そして風ごときでは剥がれない。
森の中には武器を持った者しか入り込まない。誰が呪物を発動させてもヴァイオレットとルシータに牙が向く。最高ではないか!
「ふふふふ。あの女たちの人生は狩りで終わる。そして、わたくしが帝国に君臨するのよ!!」
さっそく最強呪物の制作にかかった。
そして狩りの当日、いくつもの呪物を防護巾着に入れて袖の中に隠し、皇宮に隣接する森に向かう。
皇太后、皇子殿下、近衛騎士たち、主要貴族家長、重臣など、急な催しにもかかわらず参加者が多い。
ヴァイオレットもルシータも狩りにふさわしい服装で来て、笑顔で談笑している。のんきな顔をしていられるのは今日が最後とも知らずに。
「ねぇ、お姉さん」
いつの間にそばに来ていたのだろう。金髪に青灰色の瞳の幼い令息が足元にいて、袖を引っ張っていた。