【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

 ──なぜなの? わたくしの作る呪物は最高品質のはずよ!

 粗悪品のように未発動で終わったことは、ただの一度もない。

「それにしても、ヴァイオレットさまは何様のつもりでしょう。ご自分が中心のようにふるまわれて。従っているほかの候補方の気が知れません!」

 ヴァイオレットご一行のように、ぞろぞろと妃候補を引き連れていく様を見て、侍女たちがまた憤っている。

 けれど呪物不発の動揺のあまり、たしなめる余裕がない。

 ──わたくしの力を……。わたくしの呪術を……。今日を最高の日に……。

「……そうよ見せつけるのよ」

 自分でも驚くほどの低い声を出していた。

 狩りの始まりのラッパが鳴り響き、武器を持った参加者たちが森の中に散っていく。

「お嬢さま、どうなさったのですか?」
「お顔の色が優れませんが……」

 主の異変を感じた侍女たちが戸惑いを見せているのも目にとめず、陛下用の呪物を取り出した。

「あなたたち、ここで待っていなさい。ついてきてはダメよ」

 騎士たちの護衛が手薄になったところから、森に入り込んで呪物を仕掛ける。

 木々や草に隠れて誰にも見とがめられずに成功させた。

 これは通りがかった獣を呪術で巨大化させ凶暴に変える、最強の呪物だ。今日は狩りのために、魔道具で獣を集めているから効果は抜群だろう。

 陛下に怪我を負わせる目的で制作したが、今はもうヴァイオレット抹殺以外眼中にない。ほかの候補が巻き込まれても問題ない。

 ──陛下とわたくしだけが生きていればいいの。

「そうだわ。これも全部使うべきよね」

 獣だけで十分だろうが、念のためにヴァイオレットとルシータ専用の攻撃呪物をそこらに投げるようにして仕掛ける。

 これは呪物を発動させた者の持つ武器がヴァイオレットとルシータに向かう。獲物に放った矢や斬撃が彼女らに牙をむくのだ。無能な者は絶対に避けることはできない。
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