【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
これでいい。完璧だ。
ニヤリとして皇太后を見やる。
優雅に椅子に座って主要貴族のご夫人たちと歓談中だ。その上品な微笑みが時期に恐怖でゆがむことになる。そうなったら、呪術で盾を作って守ってやるのだ。感謝されて皇妃に選ばれるのは間違いない。
侍女やほかの妃候補なんか守ってやらない。魔物に食われて消えればいいのだから。
「ふふふふふふ」
──いつでもいいわ。早く来て。
呪物を仕掛け、それほど時間を置かずに森の入り口付近がざわめきだした。
「ぐおぉぉぉぉ!」
獣の吠える声が響き、女たちの悲鳴が上がる。
──来たーーー! 天才のわたくしが輝くときが!!
建物のように巨大で凶暴な獣が姿を現し、広場が逃げる女たちの叫び声で埋まる。
──とくと見なさい! このわたくしの素晴らしい力を!
初めての大規模な呪術成功で身の内から歓喜が湧き、顔は恍惚にゆがむ。
「どうしてこんなところに魔物が!?」
ツノクマ、一角イノシシ、ツメウサギ、巨大化した獣たちが広場に乱入して人を襲う。慌てふためいた騎士が剣を構えて対峙するが、不測の事態に指揮系統が乱れている。
「皇太后陛下をお守りしろ!」
「妃候補とご夫人がたを天幕の中へ!」
「戦える者は剣を持て!」
「陛下に連絡を!」
「お嬢さま! どちらにおられますか!」
「早く逃げましょう!」
広場の中は混乱と阿鼻叫喚の渦だ。
「ふふふふ、成功ね」
──わたくしは早く皇太后陛下に力をアピールしなくては。
いそいそと皇太后が隠れる天幕へ向かう。剣をふるうことしかできない騎士たちが天幕の周りを囲い、「あなたさまもお早く中へ!」「われらが護ります!」と叫ぶ。
──気の毒だけれど、あなたたちよりも、わたくしのほうが強いのよ。
天幕の中に入ってさっそく皇太后の前に立った。
「皇太后陛下、おそれながらわたくしが陛下をお守りいたしますわ」
「どういうことなの」
「ごらんくださいませ」