【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
幼児姿が身軽であり、相手に警戒心を与えないとはいえ、無謀な行動だ。凶悪な呪物を所持している相手は危険すぎる。
──なのにしっかり挑発しているし!
ルードリックはニコニコしているが、幼児とは思えぬほどの悪い顔である。守護獣の加護はあっても、正体を隠している身なのだ。彼女がどれほど危険な呪物を所持しているのか、滾々と話して聞かせたい。
──ああ、もう。侍女さんたちの顔がどんどん険しく……。
頭を抱えたくなるのを堪えて護衛たちはどこにいるのか探せば、少し距離を取ってはいるもののしっかり警戒していた。
いざとなればエリアナが解呪に走ればいいのだけれど、ドレスで早く駆けつけるのは無理だと階段事件で痛感している。
──でも、彼女が仕掛けるまで何もするなとくぎを刺されているし。
ハラハラしつつ眺めているとルードリックは無邪気そうな笑顔で走り去っていった。
──よかった……なにごともなくて……。
侍女たちが「天使だ」「やさしい」と大声でほめたたえ、彼女は可憐に微笑んでいる。
「あら、あのお方。また侍女たちに褒めさせているわ。よくやりますこと」
「でも実際に彼女は慈悲深いと思いますわ」
「容姿も地味ですし、家柄もそこそこ。それくらいしか特色がないのでしょう、好きさせておきなさいな」
けっこう辛辣な評価である。
侍女たちのひとしきりのアピールの後、彼女はエリアナの様子をうかがいながら背後に回ってきた。こっそりしているつもりだろうがバレバレだし、呪物の気配だけで背筋がゾワゾワする。
ここでうっかり解呪してしまったら陛下たちの作戦に不具合が生じてしまう。彼女から距離がとれるよう、ひそかに移動した。
「みなさんは狩りの経験ありますか?」
彼女から気を反らすためにも話題を振ってみた。
「わたくしは一度だけ狩ったことがありますの。矢が当たったときは気分爽快でしたわ」
「わたくしはございません。矢を放つのが苦手で」
「そういえば、最近の狩りでは、捕らえた獲物を意中の相手にささげるのが流行りとか」