【更新】護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「ルシータさま、お待ちください! 危険ですから天幕へ!」
「ヴァイオレットさま。わたくしも剣を持てますの。騎士とともに訓練を重ねてまいりました。ラウル、わたくしの剣を!」
──えっ!?
「はっ、お嬢さま。こちらを」
スグレテイル家の騎士・ラウルから剣を受け取ったルシータは凛として魔物を睨んだ。
「わたくしはツメウサギを仕留めます。ラウルは騎士たちと連携してツノグマを!」
「はっ!」
ルシータはドレス姿のまま剣を手に駆けていき、ツメウサギを一撃で仕留める。華麗な剣さばきは、日ごろのしとやかな姿からは想像もできない。
美しくも勇ましい姿に見惚れそうになるが、今はそんな場合ではない。
──殿下たちはどちらに!?
闘いで起こる土煙と呪物の黒い靄に紛れるなか、森の木々の間で金属系の鋭い光が見えた。ギラっと光るそれはエリアナに向かってどんどん大きくなってくる。
狩りの矢だ。
そのいくつもの矢にはっきりと乗っかった恐ろしい文字に、エリアナの心臓がドクンと鳴った。
──ヴァイオレット殺がくる! ど、どうしたら。
四方から猛スピードで飛んでくる矢から逃げる術はない。
下手に動けば人を巻き込んでしまう。矢が届く前に解呪できるだろうか。解呪できても飛ぶ威力が落ちなければエリアナに刺さる。
──もうダメっ。
怪我を覚悟してぎゅっと目をつむった刹那、マリービクスと三人の騎士がシュンと現れてエリアナを囲み、ダイヤモンドの髪飾りがカッと光ってキンキンガキン! と金属をはじく音が響いた。
「え?」
目を開ければ金色に輝く魔法陣の盾がエリアナを包み、その向こう側でマリービクスと騎士たちが矢をはじいていた。駆けつけたマクスも加わっている。彼らがとりこぼして盾に激突した矢が地面にパラパラ落ちた。
「これ、殿下がくださったお守り……魔道具だったなんて」
「トーイの特製魔術具なんだ」
「殿下……?」
「エリアナ、無事でよかった」